世界中のダイバーは石垣島を目指す。その魅力は透明度の高い海で出合える数々の生物たちだ。色鮮やかな熱帯魚、長い長い年月をかけて成長するサンゴ礁。中でも多くのダイバーが憧れるのがマンタ(オニイトマキエイ)だ。僕が最初に出合ったのは2年前の夏だった。
その日は朝から海は穏やかで、仕事が休みだったこともありダイビングへ出掛けることにした。地形など、海の中の広い風景を撮影する目的で機材をセッティング。同行した友人から「マンタを見たい」とのリクエストがあり、船は撮影ポイントへ向かうことになった。
「マンタポイント」は、ウミガメが昼寝をしている場所でもある。海の底からでも船が目で確認できるほど透明度の高い、水深20メートルあたりの地点を、ウミガメを探しながら泳いでいると、頭の上に何やら黒い影が旋回している。
ふっと水面の方を見上げると、横幅が3.5メートルくらいの巨大なマンタが頭上を優雅に旋回していた。だがその時の僕は「あ、いるな。写真でも撮るか」と、自分でも不思議なくらい、落ち着いた気持ちでシャッターを切った。