マンタは手が届きそうな距離まで近寄ってきて、頭上を通り過ぎていった。その水を切って泳ぐ、水の流れまで肌で感じ取れる距離だった。
大海原の中で偶然にすれ違ったマンタと僕。「絶対にマンタを見るぞ! 撮るぞ!」という意気込みが僕になかったことが、かえってよかったのかもしれない。犬は人間の気持ち、緊張感や不安感を読み取る動物とも言うが、マンタも同じなのだろう。振り返ればまた一つ、自然から学んだ一日だった。
≪大海原を悠々 癒やしの姿≫
地球の表面積の7割を占める広大な海だが、解明されたのは僅か1割にも満たない。われわれダイバーが遊ばせてもらっているのは、ごく限られたスペースだ。でも海は潜る度に違う表情を見せてくれる。水中の無重力感覚を味わいつつ地形や生物を観察するのは、日常からかけ離れて刺激的だ。