モノクロにこだわったのは、私が尊敬する、50年間、街に立ち、路上のあらゆるものを撮り続けた写真家、森山大道氏に影響を受けたからだ。
写真家にとって、いつも新鮮な驚きであふれている新宿だが、なかでも、歌舞伎町は最も気に入っている場所だ。
歌舞伎町はここ数年で、ものすごく変化した。大手資本のチェーン店などが次々に流入し、最近はどんどん増える外国人観光客向けの店舗が目立つようになり、治安もびっくりするほどよくなった。一方で、地価や物価は上昇し、歌舞伎町ならではの昔ながらの特異性や地域性が薄れつつある印象を受ける。
欧州の都市で頻繁に起きている「ジェントリフィケーション」(低所得者層が住むエリアに富裕層が流入し家賃などが上昇し低所得者層が住めなくなり、地域特性などが失われる)現象が新宿でも起きているようだ。
新宿の街を今日もカメラを片手に歩く。新宿は、“インソムニア”(不眠症)の街だ。細いストリートが無数にあり、ビレッジ(村)が存在する。
5年後の2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、さらに変化していく新宿の街をカメラに収めたい。(写真・文:フランス人フォトジャーナリスト ニコラ・ダティシュウ/SANKEI EXPRESS)