英経済紙、フィナンシャル・タイムズ(FT)買収を報じる日本経済の1面=2015年7月24日(AP)【拡大】
市民利益に結び付かず
ネット時代の今、世界の新聞事業で黒字経営なのは米国のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)と日経、FTぐらいである。これら3紙に共通するのはいずれも経済記事が主体であること。言い換えれば、ネットから無料で情報入手ができる時代に、有料で購入するのは「金もうけに関わる情報」が主だということである。
とすれば、社会のネット化が進行すればするほど、政治と経済を牛耳るものに有利な情報がマスメディアの主流になるということになる。その点でも、FT買収で、日本経済の世界的発言力が高まっても、それは必ずしも一般市民の利益には結びつかないということになる。
7月28日付のFTには「日経によるFTへの尊敬の念が今後の希望」という読者の投稿が掲載されていた。つまり、この投稿を選んで掲載したFTの社内には、日経による買収への危惧があるということである。(同志社大学名誉教授、メディア・情報学者 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)