オリジナルのあり方
さてここに、われわれがパリに進出しなければ生まれ得なかった品物がある。NAKANIWAが、九谷焼の窯元“上出長右衛門窯”と生み出した「BREAKFAST」だ。このブランドは、小どんぶり、プレート、そばちょこ、箸置きと4つの品物からなり使い方の自由度が高いのが特徴だ。パリに来て感じることは、日本の技術力の高さである。特に、伝統技術に関して言えば間違いなく世界屈指だろう。しかし、こうした日本のバリューはほとんどパリに浸透していない。原因のひとつにカスタマーリレーションがある。小売り、卸、メーカーそれぞれがパリに出店し顧客と日常的にやり取りできる環境をつくれていない。そこには商慣習や法律の問題が立ちはだかっているからだ。しかしこれでは、パリの日常が理解できず消費者の顔が見えない。われわれにはNAKANIWAというプラットフォームがあり、顧客がいた。だからこそ、日本はもちろんパリの日々の中でシンプルかつ豊かに使うことのできる品々を、日本の伝統技術でつくることに価値があるという確信をもった。しかし、この品は作りに値するのか? 作り手側の私たち以外を幸せにできるのであろうか? そしてこの行為は伝統を継承し革新につながる行為なのか? 自問自答は続いた。