国を越える形
さまざまな思念を払拭するためにも、私は長年の付き合いであり、自分の知る限り最高の窯元のひとつでもある上出氏にオファーした。初期段階では、コンセプトの徹底的な探求を主とした。デザインは、深い信頼をおいている猿山修氏に依頼。丁寧なコミュニケーションを通して、ベースとなる既存商品を吟味しながらデザインへの落とし込みが行われた。試作を繰り返し、パリチームとのやり取りを繰り返したことで、作り手のエゴもなく、要素がそぎ落とされ、精緻なろくろ仕事の結果生まれた形状が姿を現した。例えるならば丹念に育てられた野性味あふれる野菜を土から掘り起こして土を払っただけの状態のような器である。確かに、作り出したのは日本人だが、パリを理解しなければ生まれなかったのである。その点において、紛れもなく日本とフランスの共作だ。小さな一歩ではあるが、NAKANIWAの目指す21世紀の豊かさを形にすることができたと大きく満足している。ここから、われわれのあらたな旅が始まっていくだろう。(企画プロデュース会社「丸若屋」代表 丸若裕俊(ひろとし)/SANKEI EXPRESS)