世界選手権で獲得した金メダルを見せる(左から)星奈津美、渡部香生子(わたなべ・かなこ)、瀬戸大也(だいや)の3選手=2015年8月11日、東京都北区・味の素ナショナルトレーニングセンター(納冨康撮影)【拡大】
私も過去に、けがや病気で試合を辞退した経験がある。仕方のないことなのだが、さまざまな感情があふれ、苦しかった。仲間の活躍を願っている自分と、それを羨(うらや)ましく思う自分…。その感情の繰り返しが続き、やがて焦りに変わった。しかし、この焦りこそ復帰を遅らせてしまう原因にもなる。私は焦ってトレーニングを再開したことにより、まだ違和感のある故障箇所をかばうあまり、他の箇所に負担がかかりまた故障してしまった。リハビリからトレーニングに移行するタイミングは、慎重に見極めなければならない。
萩野選手は、高校生でロンドン五輪に出場。男子400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得してから、日本のエースとしてチームを引っ張ってきた。自身の得意種目のみならず、複数種目にチャレンジし結果を残す姿に、周りのチームメートたちも刺激を受けた。今大会、女子200メートル平泳ぎで金メダル、200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得した渡部選手は、2年前の世界選手権で目の当たりにした萩野選手の強さに「私もタフになりたい」と覚悟を決めたという。萩野選手の頑張りによって、競泳日本代表チームのレベルが引き上げられたように感じる。これまでも、そしてこれからも、彼は日本水泳界にとって必要不可欠な存在。来月の日本学生選手権から実戦に復帰すると聞くが、無理だけはしないでほしい。