爆風で窓ガラスが破壊されたマンション前で、途方に暮れるマスク姿の住民=2015年8月19日、中国・天津市(共同)【拡大】
天津市の大規模爆発で、現地入りした北京市公安消防総隊の李興華・副参謀長は19日までに、現場の大気中から猛毒の神経ガスと青酸ガスの成分が検出されたと語った。中国中央テレビが伝えた。しかし天津市環境保護局当局者は19日の記者会見で「環境保護部門の調査では検出されていない」と否定、情報は錯綜(さくそう)している。
ある専門家は「(サリンなどのような)軍事的な意味での神経ガスが今回発生した可能性は少ない」としており、広い意味で神経に何らかの損傷を与える有毒ガスが発生したのではないか、との見方を示した。軍事医学科学院の専門家も、神経ガス検出の見方を否定した上で「疑問がある限り、精度がより高い機器で観測を継続するべきだ」と述べた。
神経ガスが現場で検出されたと伝えた中国中央テレビのニュース番組は19日夕までにインターネットから削除され、視聴できなくなった。
天津市によると、爆発現場には40種を超す危険な化学物質があり、シアン化ナトリウムや金属ナトリウム、硝酸アンモニウムなど主要な物質だけで計2500トンに及び、処理は難航している。