おりをこじ開け、自らの野生を解放するガトリンのパフォーマンスもおなじみのものだ。ベテランのゲイは無表情で哲学者のよう、パウエルに至っては眠そうにさえみえた。ブロメルとデグラッセの表情が若々しい。
結果は誰が書いた脚本か、というほどによくできていた。
金メダルのボルト9秒79に、銀ガトリンとのタイム差は100分の1秒。銅メダルにはブロメルとデグラッセの20歳が9秒92で並んだ。
くせ者マイク・ロジャーズの9秒94を挟み、ゲイとパウエルの老雄も並んで10秒00。中国の蘇炳添は10秒06で最下位に沈んだが、決勝のレースをボルトやガトリンと走り、十分に満足そうだった。
願わくば、アジアの代表として蘇炳添の代わりに桐生祥秀の雄姿をここで見たかった。いや、同年代のライバルとして、ブロメルとデグラッセの間に割り込んでほしかった。
最年少9秒台の先陣を、桐生は彼らと争っていた。アジア出身選手として初の9秒台も世界のファイナリストも、蘇炳添が実現した。桐生にも、来年のリオデジャネイロ五輪で、何かを成し遂げてほしい。(EX編集部/撮影:AP、ロイター/SANKEI EXPRESS)