≪伝統に培われた技を新しい発想に生かすと「ものづくり」の可能性が広がる≫
北アルプス山麓に囲まれ、清らかな伏流水と、安曇平の美しい田園風景が続く長野県大町市。9月5日、地域をあげてのイベント「北アルプス三蔵呑み歩き」が開催されました。参加証となるきき猪口(ちょこ)を手に、大町にある3つの地酒蔵をのみ歩き。第8回を数える今年は地元だけではなく、県外や海外からも多くの方が訪れました。
今回はこのイベントを主催し、地元の自然環境を生かしたユニークな酒造りを通じて、地域活性に取り組む薄井朋介さんを長野県大町市に訪ねました。
各地の蔵で春にしぼられ、一夏を越えて熟成した日本酒「ひやおろし」は味覚の秋にふさわしい旬のお酒です。大町でも、標高1000メートルの高瀬渓谷、湖洞トンネルで貯蔵された「ひやおろし アルプス湖洞貯蔵」の出荷が始まります。薄井朋介さんはこの町で110年の歴史を持つ老舗酒蔵、薄井商店の4代目。大学で醸造を学び、他県の酒蔵での修業を経て、若くして蔵を継ぎました。日本酒離れが進む逆境の中、「日本酒を残したい」という強い思いから、薄井さんの挑戦が始まります。