この、誰かの死から始まる物語、先祖伝来の弔い方というフレーズ。実に怪しいのですが、実際に作品を読むと印象がまるで異なります。軽妙な文体と、いかにも女子高生といった主人公の心情描写で、どこか楽しい。その後の話の展開も明らかにホラーなのですが、おかしみがある。ユーモアが同居しているのです。
本書に収録されているほかの作品も、怪異や非日常と接しながら、怖さだけではないユルく和やかな感じや、シュールさ、つい笑ってしまう文章があります。たとえば、収録作の「十二月のゾンビ」。この中に『これがミートソースのスパゲッティだったらつらかったかもしれないけれど、うどんだから…』という一文があるのですが、個人的にはかなりツボでした。いや、そこなのか、そんな言い訳をこの状況でしちゃうのか、というような。どういういきさつでこの一文が出てくるのかは、作品の重要な設定に関わることなので、ここに書けないのがもどかしいばかりです。こういったある種のおかしみは、登場人物の怪異への接し方に、われわれの常識とのずれがあるからかもしれません。この微妙なずらしかたが絶妙なさじ加減で、作品群の一つの個性であり、面白さに繋(つな)がっています。
ホラーなのにユーモラスな点を強調してしまいましたが、言わずもがな、それぞれの作品には別な要素も潜んでいます。痛快だったり、かすかな悲しみを覚えたり、結末の先を想像してぞっとなったり。短編ならではの切れがいかんなく発揮され、落語のようにオチが見事に決まっているのです。