この生きる妻と死んだ夫の夫婦愛の描き方がすばらしい。あるがままの状態を受け入れる主演の2人の自然な表情を光と影が効果的に彩る。深津の顔にサッと日が差したかと思えば、森のシーンでは柔らかい光に包まれる。
「人の生き死にが話の中心ですからね。常に太陽は動いていて、夜が来てまた日が昇り、と天体は明るいと暗いを繰り返している。それがこの世界を支配している、いったん闇になってもいずれまた、光が差してくる、という感触をあちこちに入れたいなと思ったんです。でも言うは易しで、照明でやるのは大変でした」
夫婦の関係描きたくて
5月のカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に招待され、監督賞を受賞した。カンヌは何度か経験しているが、上映後、満場総立ちの大喝采がひとしきり終わって会場を出たら、そこでも大勢の観客が待ち構えて再び拍手が起きた。「驚きでしたし、素直に感激しました」と振り返る。
実はこの作品は日本との合作として、フランスからも助成を受けている。「フランス人って面と向かって話すと、幽霊とか死後の世界とか鼻で笑っている。でも、そういう映画が嫌いかというと、大好きなんですよね」と笑う。