黒沢清監督(60)の新作「岸辺の旅」の主人公・優介は、不惑を迎え、新境地を模索していた浅野忠信(41)が待ち焦がれていた、忘れがたい役どころとなった。
「『一度、40代の夫婦の物語で夫役を演じてみたい…』。僕は心の中でそんなイメージを抱いていたので、優介役はまさにぴったりでした。監督は私淑する黒沢さんであり、妻は第一線でバリバリ活躍する深津絵里さんです。こんないい形で自分に出演の話がくるなんて思ってもみませんでした。打診を受けて脚本を手にしたときからすでに『優介をどう演じてやろうか』という読み方をしていましたね」
人生と向き合い
「『岸辺の旅』では自分なりに人生とは何かを描き切ることができました」。カンヌでの快進撃に沸く報道陣に対し、黒沢監督はこう語り、作品の出来栄えに会心の笑みを浮かべていたが、浅野とて思いは同じだった。「僕は若い頃から『これから先、自分にどんなことができるのか?』とか、『映画俳優やバンドの活動をどうやって続けていくべきなのか?』と、真剣に考え、自分の人生に向き合ってきました。そうして最近出した結論が『役者という仕事を優先させる』というものだったので、演じる役を一つ一つ身を入れて表現していかなければと改めて気持ちを引き締めていました。そんな時いただいたのが『岸辺の旅』のお話です。主人公の40代夫婦という役柄に、僕が経験してきたことを当てはめて、思いの丈をぶつけることができたので満足してます」