久しく接点がなかったが、実は黒沢監督は浅野の俳優人生のターニングポイントに以前にも一度立ち会った人物でもあった。「12年前、黒沢監督の『アカルイミライ』に出演したとき、実は俳優としての限界を感じていたんです。それ以来、ずっと自分なりに壁を突き破ろうともがき続け、演じる役と闘ってきました。その結果、また新たな自分に出会え、『まだまだ頑張るぞ!』と思えたときに、『岸辺の旅』で再び黒沢監督と出会いました。不思議なタイミングでご一緒させてもらえるんです」。役者人生の節目ごとに現れる黒沢監督に、浅野は不思議な縁を感じているそうだ。
トコトンやり抜く
自らのキャリアに立ちはだかる大きな壁を、浅野はどのようにして乗り越えてきたのだろう。「まず自分なりの乗り越え方を見つけることが大事だと思いましたね。僕も必死に考えましたよ。その手法は、自分に優しく向き合い、よく考えて、自分の中できちんと答えを出すというものに収斂(しゅうれん)されていきました。大事なのは、ネガティブに考えるのではなく、ポジティブに考えることです。人によってはわずか30分間の作業かもしれないし、逆にすぐに3日ぐらいたってしまうものかもしれません」