自然の一区画を開く
照明は限界まで落とされている。淺井は「ちょっと目を離すと、中の動物たちが動き出したり、形が変わっていたりする…。夜の海や森の、のみ込まれてしまいそうな怖い感じを表現したかった」と、作品の狙いを明かした。
特別に会期中3度(9月19日、12月19日、来年2月28日、午後3~5時)だけ、ろうそく(100~150本)の火だけで鑑賞するイベントも企画した。揺らぐろうそくの火に照らされ、作品の神秘性が増すという。
この作品には淺井が2003年ごろからマスキングテープを植物のつるのように張り巡らせて描いてきたマスキングプラント、08年ごろから訪れた土地の土を使って描いてきた泥絵の2つの技法が生かされている。
画業のプロセスを示すように1階と中2階の展示が構成されている。1階の泥絵「双子の鼠(ねずみ)」は13年に制作した作品。一部に加筆をしたうえで、「自分の絵は、自然の一区画を開いているだけなので中心がない」(淺井)という泥絵の複数のパネルを組み替えることで、新しい作品に作り替えている。
中2階では1階の「双子の鼠」に描かれたネズミの絵がマスキングプラントの技法を使って黒く描かれている。