淺井は、作品にたびたび登場するネズミについて、「穀物を食べたり、病原菌を運んだりする害獣でありながら、ミッキーマウスやパソコンのマウスとして人間に親しまれている存在。どこにでも入り込んで、いつも何かをかみ続けていないと歯が伸びすぎて食べられなくなるのも、自分の(常に描き続けている創作の)感覚に近しい」と説明する。
小片に見いだしたもの
淺井はこれまで、決められた枠の中に描くという“絵画の常識”に反旗を翻し、まるで植物が繁茂するように外へ外へと描いてきた。「自然の力に突き動かされるように描かされ、ヘロヘロになって描いている最中でも、予期しないものが描けたとき、最も“達成感”があった。逆に完成するとつまらなくなる」。だから「つくることと残すことは違う」と、あえて作品はすべて消し去ってきた。
しかし今、少しずつ心境が変わりつつある。それは自分の作品を残すという方向にかじを切り始めたことだ。