ラーメンなどに使われる鶏白湯(パイタン)スープのパイオニアである「クックピット」(東京都足立区)が、ストレートスープの特色を存分に生かした“味分け”という独特の開業システムを考案、約10年間で導入店舗数を全国650店まで拡大、さらに成長を続けている。飲食業界は今、長時間労働、人材難など大きな悩みを抱えている。こんな苦境の時だからこそ、クックピットの本間義広社長は「小規模店を支援して、多店舗化を後押しする。飲食業界で働く人たちの幸せのために役立ちたい」と意気込んでいる。
みんなが幸せに
板前を7年経験した後、外資系の飲食会社に勤めていた本間社長が入った東京・西麻布のラーメン店。口にしたスープに衝撃を受けた。「甘みのある、この味の秘密が知りたい」。弟子入りを即決、家族にも告げずに会社を辞めて「時給800円」のアルバイトとして働き始めた。1992年12月のことだった。
地道な修業を重ね、店主の信頼を得て、94年2月に独立した本間社長は「全ての道は日本橋に通じる」というところから、1号店は日本橋に。それから約10年で、18店舗に拡大させた。この間の多くの失敗や人の支えが“味分け”の根幹となった。