東北一の広さといわれる一棟140坪の大きな土蔵には、昔ながらの造り酒屋の様子や酒造りの道具などが展示され、米沢の観光スポットとして多くの人々が訪れます。
この10月に社長に就任したばかりの健市郎さんは24代目になります。若き当主が目指す酒造りは、気温の低さや水の柔らかさといった雪国の個性を生かし、繊細なお酒を造ること。地域性を出すために気候風土や農業を深く理解し、地元の契約農家とともに歩むこと。全国の酒蔵が戦後、国策により合併や廃業を余儀なくされた中、長い歴史を有する自社について「私たちを残してくださった」と表現する言葉には、「質素倹約」を家訓とし、謙虚さをつないできた歴史が現れているようです。
伝統と風土に根差した酒造りを大切にする一方で、新たな時代を見据えた戦略にも余念がありません。海外での在住経験があり、国際感覚も豊かな健市郎さんはその経験を生かし、幅広いマーケティングセンスを発揮。10年ほど前に先人が道をつけた海外市場へ日本酒を。日本食とともに食中酒としてワインのフィルターを通して研鑽(けんさん)するために、国内外を問わずコンテストへチャレンジします。2014年には英国ロンドンで開催されたインターナショナル・ワイン・チャレンジの吟醸・大吟醸部門において、部門最高評価のトロフィーを獲得。全国新酒鑑評会では7年連続金賞受賞という快挙。