何段あるのだろうか。どこまでも谷間に棚田が広がっている。中国国境に近いベトナム北部のラオカイ省。山岳地帯に住む少数民族たちは昔ながらの耕法を守り、見事な棚田を維持している。放し飼いの鶏や豚が雑草や害虫を食べ、水牛が耕す。
棚田は山岳地帯の至る所にあるが、国家遺産にもなっているムーカンチャイ村の景色が一番美しいとされる。地形に合わせて緩く弧を描いた細長い田んぼが幾重にも重なっていく。ちょうど日没時間頃に到着した。夕焼けが辺りを染めていく。
風光明媚(めいび)な場所だが、交通の便が悪いため観光客は少ない。省都ラオカイからバスで何時間もかかる上、道路もきちんと整備されていない区間が多く、相当の揺れを覚悟しなければならない。
周辺に住む少数民族の一つ、モン族の家族が好奇心に満ちた目で見つめている。カメラマンがレンズを向けると大喜びした。
トレッキングコースとなっている村では、民族衣装を着た女性がぴたりと付き、刺繍(ししゅう)の入った土産物を盛んに勧められた。写真撮影も土産物の購入が条件となっていたのとは対照的だ。