売店のおばさんに「サルに気をつけな」と言われ、バッグを身体の前に抱きかかえて石段を登った。急な石段は272段。途中で待ちかまえる野生のサルたちが、食べ物などをひったくりにやってくるそうだ。
マレーシアの首都クアラルンプールから北へ13キロ。ヒンドゥー教の聖地として知られるバトゥ洞窟に来ていた。高さ42.7メートルものムルガン神の像の横にある石段を、汗を拭きながら踏みしめていく。その先に大鍾乳洞があり、至るところにヒンドゥーの神々が祭られていた。
「時間はたっぷりあるので、いちど街中に戻ろう」
今回の旅の目的は、マレー半島を縦断するマレー鉄道でタイへの国境越えを果たすことだ。きっかけとなったのは、ANA(全日空)が9月1日に13年ぶりに成田からクアラルンプールへの路線を再開したこと。ボーイングの最新鋭機787での運航と聞き、この旅を思い立った。