10月27日から読書週間が始まる。書物を作るために先人が積み重ねた苦労などどこへやら、本をめぐる状況は悪化の一途をたどっている。街の書店は次々に消え、雑誌の休刊も相次ぐ。近年まで活字で組んでいた新聞も、読んでくれる家庭が減り、同じ状況だ。
グーテンベルクの活版印刷術が情報の伝達方法を飛躍的に変えたように、インターネットの登場が再びの変革をもたらそうとしている。晩年は借金などで苦しんだというグーテンベルクのような人々の汗と涙の改革は今、取って代わられようとしているのか。
印刷博物館内にある印刷の体験施設ではワークショップが行われ、参加者が一心不乱に活字を並べていた。手作り感への郷愁にひかれた面もあろうが、熱心な表情で活字と格闘する参加者の姿は、表現を追い求めているように見えた。
口伝から書物へ、書物からどこへ。新聞記者として革命の行く末が怖くもあるが、印刷博物館で紙の印刷が実に好きだと改めて認識した。きっと郷愁だけではない。(小川記代子/SANKEI EXPRESS)