最近、ユーミンと話していたら、アニメ映画『リトル・プリンス』の曲を作るために久々に読んでみたら、めちゃくちゃ深いので考えこんだと言っていた。よく、わかる。結局、ぼくも20年ほどかかって、あの当時の飛行機乗りのみが書けた童話だということを合点した。サントス・デュモンやアンリ・ファルマンやルイ・ブレリオに憧れ続けた稲垣足穂のおかげでもあった。
『星の王子さま』を感じるには、他の作品を読んだほうがいい。ぼくも最初は、たった一夜の物語『夜間飛行』に惹かれた。主人公の飛行家は飛行機とともに行方知れずになっていくのだが、それはサン=テグジュペリには追走できる行方なのである。機影や航路が追走できるのではない。飛行者の「魂」が見えてくるのだ。ついで『人間の土地』に浸ってみて、大いに攫(さら)われた。この作品は小説ではない。思想でもない。“空の農民”である飛行家が到達しうる至高の精神を綴っていた。これでやっとわかる。『星の王子さま』は『人間の土地』の童話版だったのだ。