人間は科学技術の発達により、移動手段を確保し遠くへ行けるようになった。だが、少し考えてみよう。その移動手段が自力、すなわち歩行に限られるとしたら、地球という途轍(とてつ)もない広大な大地で生活範囲は、ピンポイントに限定される。
魚でも同じで、海と言う広大な場所に居ながら生活圏は限られている。もちろんクジラや回遊魚なども存在するが、生物全体の数から考えると“異端児”のような存在だ。
≪人も魚も夕暮れ時に恋を語らう≫
沖縄県、そして石垣島は、日本では珍しい亜熱帯気候に属する。美しい海には、いわゆる「熱帯魚」を連想させる色鮮やかな魚がたくさん泳いでいる。魚たちの生態は、姿から連想されるかのように情熱的だ。
ここで紹介するのは「ニシキテグリ」。和名は「錦手繰」学名は“Synchiropus splendidus”。前半は古代ギリシャ語で「手のような足を持った」という意味を持ち、後半はラテン語で「素晴らしい、豪華」という意味だ。後半はおそらく英語のsplendid(輝かしい)と同じだろう。