生息域は琉球諸島からオーストラリアの太平洋とされる。昼間は天敵から身を守るために、入り組んだサンゴの奥に隠れてめったに見ることはないが、太陽が沈み、辺りが薄暗くなるとメスとオスが出てきて、交尾を始める。
大きさはオスで6~8センチ。メスより一回り大きく、背ビレに棘(とげ)のような物を持ち、それをピンと立てて縄張りを主張する。何度見ても不思議な魚で、サイケデリックな模様の質感は何とも言えない。
オスは縄張りの中でハーレムを作り、複数のメスと交尾を行い子孫を残す。しかも産卵は一瞬で終わってしまう。サンゴの中でオスがメスを誘い、デートをするように泳ぎながら、一瞬だけサンゴから海面へ向けて垂直に飛び出して来る。
オスはヒレを使って、メスを抱き抱えるようにしながら、放出された卵めがけて放精する。それを幾度か繰り返しながら、時間にして約1時間程で夕暮れ時のデートは幕を閉じる。
陸では夕暮れを見ながら、恋人たちが思いにふけっている。時を同じく、海中でも魚が同じように恋を語らう。生物としての種は違えども、異性に対する行動は同じなんだな。こう考えると何とも面白い。(写真・文:フリーカメラマン 永山真治/SANKEI EXPRESS)