≪らせん状のディアデマ≫(日本初公開)。紀元前4世紀末-紀元前3世紀初頭。金。ブルガリア、スヴェシュタリ出土ソフィア国立考古学研究所・博物館。(National_Institute_of_Archaeology_with_Museum-Sofia,Bulgaria提供)【拡大】
【アートクルーズ】
人間にとって黄金とは何だろう? 富の象徴であり、冒険・ロマンの対象であり、罪悪をもたらす原因でもあった。国立西洋美術館(東京・上野公園)で開かれている「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」には、6000年も前から輝き続ける黄金の美術品がずらり。見る者は、人々が黄金の魔力に魅せられてきた歴史を思い知る。
金、金、金…。展示品282点のほとんどが金製品だ。その金の総重量は20キロ近く。これだけ金を集めた展覧会は例を見ない。さらに展示の歴史の幅も紀元前4600年~16世紀に及ぶ。金は砂金などとして誰でも採取できる。そしていつまでも輝きを失わない。人間は有史以前から、いかに長く金を求め、金と付き合ってきたかが分かろうというものだ。
黒海沿岸に産地
最古の金製品といわれるのが1972年、ブルガリア黒海沿岸の町ヴァルナで発見された墓地の副葬品だ。約300の墓から計約6キロの黄金製品が出土した。放射性炭素年代測定法で時代は紀元前4600~4450年と判定されたが、どんな民族、どんな文化のものかは詳しく分かっていない。