一方、中国の常万全国防相は「南シナ海では航行の自由は確保されている」と比較的穏やかな調子で反論するにとどまったという。一見、中国が劣勢のように見えるが、実際にはこのときまでに共同宣言の見送り方針が固まっていた。中国によるASEAN各国への働き掛けが奏功し、“対中包囲網”を築かせなかったのが実情だ。
「アジア太平洋地域の分断の象徴だ」。ASEANの支持取り付けに奔走してきた米国防総省高官は4日、宣言見送りに失望感をあらわにした。
世界規模で軍を展開する米国にとって「航行の自由」は不可欠。経済活動上、死活的なシーレーン(海上交通路)でもある南シナ海で自由に行動できなくなれば、軍事的な抑止力が効かなくなり、日本やフィリピンなどアジアの同盟国から厳しい目を向けられる。
南シナ海で人工島の軍事拠点化を図る中国の動きは、米国から見れば「戦後の国際秩序」への挑戦と映り容認できない。