10月28日、南シナ海を航行中のイージス駆逐艦「ラッセン」の艦上で、医療搬送訓練を行う米海軍の隊員たち。この前日、ラッセンは中国が建設する人工島の12カイリ(約22キロ)内を航行した=2015年(ロイター)【拡大】
当事者にされぬいらだち
台湾には、こうした対外政策上の配慮だけでなく、ナショナリズム(民族主義)と言っても過言ではない反応がある。総統府直属の研究機関である中央研究院の欧米研究所研究員は10月28日付の中国時報に、台湾は南シナ海問題で中国側に立つべきだとする寄稿をした。
この研究員は、台湾が1998年に制定した「領海・接続水域法」により、外国の軍艦が領海を通過する際には台湾当局への事前通知が必要だと主張。米駆逐艦がスービ、ミスチーフの両礁付近を通過した際、通知がなかったとして米国の対応を批判した。
この論旨には、3つの倒錯がある。第1に、スービ、ミスチーフ両礁が「領海」を構成しないのは、台湾が再三、順守を表明してきた国連海洋法条約上、明らかなはずだ。第2に、台湾はスービ、ミスチーフの両礁の領有権を形式上、主張してはいるが、実効支配を試みる動きはなく「紛争当事者」とは言い難い。第3に、そもそも台湾が「領海」通過に事前通知を求めるのは、中国が「事前承認」を求めるのと同じく国際法に合致していない。