国境付近の街・サルピ国境検問所。国境線に立てば、トルコ側のイスラム教のモスクと、ジョージア(旧グルジア)側のギリシャ正教の教会が見える。ジョージアは、旧ソビエト連邦から独立して25年目。重厚で無機質な古い建造物にはノスタルジックな雰囲気が漂う。
主要産業は農業。飲食店で何を注文してもおいしい。「シンプルな田舎料理が僕の舌にはとても合いました」と井浦さん。「それもそのはず、カフカス地方は、日本で口にする多くの野菜や果物の原産地だから」
料理も風呂も薪でたくので、朝と夕、すべての家々の煙突からスッと白い煙が立ち上る。「人間の『生』の姿を感じる、それは美しい光景でした」。サルピでは、ジョージア唯一の観光要所として、リゾート化が推し進められていた。国際都市への急速な開発は、どこかハリボテ感が否めない。「その姿が痛々しく思えるほど、他の風景はのどかで牧歌的でした」
ワイン発祥の地ともいわれるジョージアでは、ワインは買うものではなく各家庭でつくるもの。庭先にブドウ棚があり、その下に壺を埋めて製造する。ワインをつくる壺(つぼ)「クヴェヴリ」職人のザリコ・ボジャゼさんのお宅で、琥珀(こはく)色の自家製ワインをいただいた。