その時、1台のスクールバスが到着し、子供たちが一斉に帰ってきた。大人たちの顔にも笑顔が戻る。「故郷に帰りたい?」と聞くと、「帰りたい。小さかったけど覚えている」「でもね、仲間もいるから、ここも案外悪くない」と前向きな答え。将来、何になりたいかを尋ねたら「プロのダンサー」「法律を勉強したい」「女優」と思い思いの答えが返ってきた。
厳しい状況におかれても、夢を持って大人になろうとしている子供たちの姿。「それは光輝く希望でした」。同時に、カメラを出すのもつらかった自分の旅ってなんだろう、と自問した。「彼らが現実を背負って生きていくことに比べたら、弱いだけの自分の気持ちに嫌気がさしました」。目の前にいる人がどんな状況でも、脚色なく向き合い、状況をすべて受け入れ、それを伝えるしかない。「良くも悪くもやじ馬に徹しよう。それが僕の仕事であり、旅の目的であるというふうに腹をくくりました」