南ドイツ、特にアルプス山間部の村々に多い壁絵の家。特にオーバーアマガウは敬虔なカトリック教徒が多く、宗教画からグリム童話まで、様々な壁絵のある村として有名だ=2015年9月20日(佐藤良一さん撮影)【拡大】
「私も子供の頃から出ています。2010年の劇ではマグダラのマリア役に抜擢(ばってき)されました。劇の最後に『ハレルヤ!』と叫んだんです。無事に演じきれたことは、今も私の誇りです」
そう話すのは、村に住むヘルガさん。劇には2000人以上が登場するが、演じるのは全て村民だ。彼らは役に合わせ、髪やひげを伸ばして容姿を変えていく。受難劇は、神への感謝、奉仕の精神に満ちた祭事だ。
日曜日の朝、村唯一のカトリック教会のミサに集う村民の姿があった。天井や壁一面に飾られた宗教画、大理石の装飾、豪華な祭壇…。教会内は、素朴でメルヘンチックな村とは相反した威厳に満ちた空間が広がる。
パイプオルガンが教会内に響き渡り、扉から祭服をまとった聖職者たちが入ってきた。会衆(かいしゅう)による美しい合唱に思わず涙する。
次のキリスト受難劇が開催されるのは2020年。ぜひとも再訪したい。(文:旅ライター 鈴木博美/撮影:カメラマン 佐藤良一(りょういち)/SANKEI EXPRESS)