州都のパダンにゴールする最終ステージでは、伊藤と初山、2外国人選手による4選手が先行する展開となった。彼らを追いかける集団は、これまでのステージで疲労がたまっており、また総合上位につけるイラン勢にとっては、すでに逆転不可能なリードを保っている。つまり、逃げ切って区間優勝を狙う絶好のチャンスとなった。
そして、ゴール前の牽制(けんせい)をうまく切り抜け、4選手によるゴールスプリントを制したのは初山だった。132選手がスタートし、最終日まで走り切ったのは、わずか59人というサバイバルレース。厳しいレースを乗り越えてのうれしい勝利に、両手を大きく掲げた。
一方の伊藤は区間4位でゴールした。勝利を逃した悔しさから大きく肩を落としたが、伊藤は1年前に大腿(だいたい)骨を骨折しており、一時は再起不能とも思われた。そこからの完全復活を告げる走りに、悔しさのなかで大きな手応えを感じることができた。(写真・文:フリーランスカメラマン 田中苑子(そのこ)/SANKEI EXPRESS)
■たなか・そのこ 1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。08年からフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかな自転車レースを追っかけ中。