【Viva!ヨーロッパ】
もう今年も残すところ1カ月余り。デンマークでは年間最大の行事、クリスマスを前に、日が短くなるのと反比例して街の装いがにぎやかになってくる。そこに、左党お待ちかねのクリスマスビールが登場し、胃の腑(ふ)を刺激しながら人々をクリスマスまで鼓舞し続けるのがデンマークの伝統となっている。
甘く濃厚で度数高め
デンマーク語でクリスマスは「Jul(ユール)」。クリスマスビールは「Julebryg(ユールブリュック)」と呼ばれる。デンマークでは中世からクリスマスシーズンには、この時期だけのこってりしたごちそうに合う特別ビールが飲まれてきた。そのほか、デンマークの伝統的なクリスマス料理であるライスプディングに合う度数が低い甘めの白ビールも飲まれてきた。
20世紀に入って商業が盛んになってくるとこうした伝統は変化していった。1905年にクリスマスと並ぶ年中行事であるイースターに合わせた度数が高いイースタービールが売り出され、国民の間に浸透していった。一方でクリスマスビールが初めて売り出されたのは1958年と少々時間がかかった。