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歌を忘れたカナリヤは後ろの山に捨てましょうか 鈴木三重吉が大正昭和の童謡に込めた日本の哀切 松岡正剛 (2/4ページ)

2015.11.22 13:30

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)【拡大】

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 「おうちはだんだん遠くなる」「シャボン玉はこわれて消える」「歌を忘れたカナリヤは後ろの山に捨てようか」「赤い靴をはいていた女の子は異人さんに連れられる」「雨降りお月さんは雲の中にいる」‥‥。多くの童謡が「負」をうたったのである。これがすばらしい。誰も幸せやハッピーなどを歌詞にしなかった。

 子供たちが感じるべきなのは「失ったものへの哀切」なのである。今日の童謡やポップスがいま一度、「赤い鳥」の心に立ち戻ってみることを切望する。

 【KEY BOOK】「鈴木三重吉全集」全6巻別巻1(岩波書店、在庫なし)

 三重吉は漱石の門下生である。その文芸手法を十分にいかして、多くの瑞々しい作品を書き、童話童謡運動に身を投じていった。とくに「赤い鳥」とは何だったかを知ることは、昭和の日本が本来進むべき道を深く示している。三重吉は今日こそ必要な「日本人の心のプロデューサー」なのである。いまも「鈴木三重吉赤い鳥の会」(長崎昭憲会長)が活動し、広島市立図書館には「鈴木三重吉と『赤い鳥』の世界」が常設される。

誰も子供のための日本神話を書いてこなかった

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