日本は単一民族でありながら、南北に伸びる地形により地域ごとにさまざまな伝統芸能や文化が発展しているユニークな国だと思う。北は北海道から南は沖縄八重山諸島まで、同じ県内であっても地域でそれぞれに違いが見られる。
石垣島と言う小さな島の中でも地域ごとで違いが見られる。歴史は琉球王朝時代まで遡(さかのぼ)る。開拓のために強制移住が行われ、当時の医療では治療できなかったマラリアで移住者が全滅。それに応じて強制移住を繰り返したために、同じ石垣島の中でも集落ごとで伝わる文化、芸能が違う。石垣島は、強制移住によって作られたいわば小さな合衆国ともいえる。その歴史を背景に良い意味で多様性があり非常にユニークである。
八重山諸島では、1960年代初頭に西表島で発症したマラリア患者が最後とされるが、世界保健機関(WHO)からは終息宣言は得られなかったと記録されている。現代に生きる私たちには、どこか遠い国の出来事のような意識しかないが、約50年前には日本にもマラリア患者がいたという事実は驚きだ。「八重山平和祈念館」があるので、興味がある人は立ち寄っていただきたい。