新たに「亜熱帯」シリーズ
それだけではない。両名は『太陽の鉛筆 1975』と名付けられたこの再編版に加え、それ以降に撮り貯(た)められた既発表、未発表の膨大な写真のなかから、「太陽の鉛筆」のコンセプトに沿う103点を新たに厳選。最晩年の東松が願いつつも、ついに実現に至らなかった新シリーズ「亜熱帯」の構想に沿い、これらを新たに配列。『太陽の鉛筆 1975』に加え、『太陽の鉛筆 2015』として編集。2冊でセットとなる『新編 太陽の鉛筆』にまとめあげた。実に大胆な試みだ。人によっては賛否が分かれるかもしれない。けれども、いったん本を開くと、東松の死で中断されたその先にある世界観が、驚くほどくっきりと浮かび上がる。たんなる回顧や資料化に留まらないヴィジョンの顕在化に挑み、失われて久しかった「太陽の鉛筆」の可能性を、21世紀に再生させた意義は大きい。