【アートクルーズ】
オノ・ヨーコの大規模な個展が日本で開かれるのは、2003年から04年にかけての大規模な回顧展「YES オノ・ヨーコ」(水戸芸術館、東京都現代美術館ほか)以来、実に11年ぶりのことである。ただし、前回が海外のニューヨークで組織された展覧会が国内に巡回したものだったのに対し、今回は、純然たる日本初、オリジナルの企画展である。スケールの大きな新作の展示も、むろん見応えがあるが、本展がよって立つ起点は、海外生活の長いオノにとって、故郷である東京がどのような意味を持つか、という着眼にある。
前衛、日本で評価されず
先に11年ぶりと書いたが、実は03年の回顧展に至っては、東京では39年ぶりの公的な場所での作品発表であった。遡(さかのぼ)ること1964年、間近に迫る10月からの東京オリンピック開催を目前に、オノは2年前に帰国したばかりの日本をあとにする決意を固める。その夏の8月に開かれたのが「小野洋子 さよなら演奏会<ストリップ・ショー>」(草月会館ホール)だった。