【アートクルーズ】
日本のマンガのはじまりはいつだろうか? よく挙げられる一つには、平安・鎌倉時代に描かれた『鳥獣人物戯画』があるが、マンガをどのように定義するかによって、その原点は異なるだろう。マンガの源流は諸説あるし、マンガに正史はない。
『江戸からたどる大マンガ史展~鳥羽絵・ポンチ・漫画~』もさまざまに存在する諸史の一つであることを先に述べておきたい。本展は、京都国際マンガミュージアムの研究顧問で、マンガ史研究家の清水勲さんの長年の成果を基に紡いだ歴史だ。「マンガ」を多くの人が読む「大衆メディア」であることを前提とし、一般庶民も楽しんだ江戸中期の「戯画」から、「漫画」という漢字表記が一般的だった昭和初期の雑誌にいたるまでを紹介している。マンガがどのように発展していったか。一部ではあるが、その内容をご紹介したい。