当時は、版行の際、町奉行の検閲を受けなければならなかったが、絵師は役人たちにわからないように風刺性をぼかしていた。後に幕府批判であることがばれて発禁処分になる作もたびたびあったようだ。そうした風刺を読み解くことも庶民の楽しみだったはずだ。
また、多数の戯画が商品として出回ることで、表現方法も多彩になった。「吹き出し」や、動きや光を線で表現するような効果線など、現在のマンガにも通じるような表現方法が、この時代の戯画からも見ることができる。巧みな表現は話題になるだろうし、そうした反響を受けて、他の絵師たちも模倣したはずだ。繰り返し描かれ、売られることにより、読者もそうした表現の意味を自然と理解できるようになったのではないだろうか。
本展では、こうした江戸戯画をさまざまな側面から前期後期合わせて150点展示している。
一般の美術館の浮世絵展では展示されないような作品もたくさんあるはずだ。