自由民権運動が終わると、時局風刺画を示す「ポンチ」の意味は弱まり、時に程度の低い荒唐無稽なあそび絵を意味して使われることもあったようだ。「ポンチ」に代わる新しい言葉が必要になるわけだが、そこで使われたのが「漫画」という言葉である。明治末期に現代的な意味に近い形で「漫画」という言葉が使われ始め、昭和初期にかけて庶民の間で浸透していった。
こうした「漫画」に至るまでの流れも、本展では明治~昭和初期の雑誌・新聞・本など、およそ150点の資料とともに解説している。細かな説明を読むのもよしだが、その膨大な物量をまずは楽しんでほしい。
「大マンガ史」の黎明(れいめい)期を企図した今回の展示では、江戸時代の戯画からの連続性に着目し、鳥羽絵、風刺画、ポンチなどを中心に据えているが、「マンガ史」を大きな視点で捉えるうえで欠かすことのできない資料群から、現在のカタカナ表記の「マンガ」への連続性を多角的に見いだしていただければ幸いだ。(京都国際マンガミュージアム研究員 倉持佳代子/SANKEI EXPRESS)