オノ・ヨーコ《FROM_MY_WINDOW:Salem_1692》2002年、顔料/カンヴァス、個人蔵(提供写真)。(C)YOKO_ONO_2015。Yoko_Ono,FROM_MY_WINDOW:Salem_1692,2002,Pigment_on_stretched_canvas,Private_Collection。(C)YOKO_ONO_2015【拡大】
この作品は、「もし君がそう望めば」という仮定形を取る点で、いまや反戦ソングとして、世界中で歌い継がれているジョン・レノン「イマジン」(1972年)を先取りするものだ。だが、この「イマジン」(~というふうに想像してごらん)という一節さえ、もとはといえば、オノが64年にまとめた詩集『グレープフルーツ』に由来するのである。
言葉と想像力 最小限の要素
くしくも、本展開催中の今月13日に勃発したパリ同時多発テロ事件によって、フランスのオランド大統領は「フランスはいまISIL(イスラム国)との戦争状態にある」と宣言。オノとレノンの合作となる先の言葉は、たんなる回顧的価値を超え、がぜん生々しい意味を持つことになった。そういえば、今年に入ってから日本で、安倍政権による新安保法制案に反対する大規模なデモが国会議事堂前で開かれていたとき、オノとレノンによる言葉からなるこの作品は、SEALDsに代表される、若い学生を中心とする政治的な意思表示のなかで、プラカードを中心に、たいへん大きな役割を果たしていた。