2015年11月15日、トルコ・アンタルヤでロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)と会談する安倍晋三(しんぞう)首相。タイトな政治日程の中、北方領土問題を前進させられるか注目される(共同)【拡大】
原則にこだわらず
「私とウラジーミル(プーチン氏)で日露関係をさらに発展させたい」。昨年11月、首相はトルコでの首脳会談で、プーチン氏に領土問題解決への決意を伝えた。この時、首相はプーチン氏の「引き分け」発言を引き合いに、問題への前向きな対応を促した。
日本政府の基本的立場は「北方四島の日本への帰属が確認されれば、返還の時期と方法は柔軟に対応する」というもの。発言の引用は、日本側も「原則にこだわらず、より柔軟な姿勢で臨む意向を示した」(日露関係筋)ことを意味する。
平和条約締結後の歯舞群島、色丹島の引き渡しを定めた60年前の日ソ共同宣言以降、「近年で最も交渉が前進した」(外務省幹部)のは、2001年の森喜朗首相(当時)とプーチン氏との首脳会談といわれる。森氏は歯舞・色丹返還と、国後・択捉の帰属問題を並行協議する「2島先行返還」を提案。プーチン氏は否定しなかったとされるが、森氏の退陣で立ち消えになった。
その後、第1次安倍政権時の06年には当時の麻生太郎外相が、4島を面積で等分する案とも受け取れる発言をした。13年に森氏は択捉を除く「3島返還」に言及。2人は安倍首相に近いだけに、現政権内には首相が今後の領土交渉で、一連の解決策を念頭に置いていると見る向きもある。