1階の第一展示室には主に長谷寺の歴史を伝える文化財を展示。ご本尊・長谷観音の前に立っていた像高178.8センチの前立観音もミュージアム開館とともに第一展示室に移された。
圧巻はその前立観音を半円形に囲む三十三応現身立像だろう。観世音菩薩は救済の対象に応じ、身を変じて姿を現すという。前立観音の周囲に並ぶ33体の応現身立像は、穏やかな仏身や童女身から険しい表情の夜叉身、執金剛身まで実に多様である。
『その救済は人間界のみならず天上界・地獄界・飢餓界・畜生界など普(あまね)く及ぶため、様々な像容で表されます』(所蔵品図録より)という。「えっ、すべて観音様なの?」と思わず声を上げてしまいそうだ。
前立観音の背後、2階まで吹き抜けになった壁面には像高9.18メートルというご本尊の映像。ただし、光背は映像ではなく、関東大震災で崩れ落ちた旧光背の実物だ。2階に上がると、その光背もぐっと近くに寄って見ることができる。これも空間的制限を生かす逆転の発想の成果だろう。(文:編集委員 宮田一雄/撮影:写真報道局 渡辺照明/SANKEI EXPRESS)