南シナ海に展開する米空母「セオドア・ルーズベルト」(右側の背景)を視察した後、移動のため米海兵隊のオスプレイに乗り込んだアシュトン・カーター米国防長官。手をこまねいていては、南シナ海は「中国の湖」になりかねないのが現状だ=2015年11月5日(ロイター)【拡大】
中東に集まる関心
ただ、米大統領選で、アジアがテーマとなることは極めて少ない。共和党のマルコ・ルビオ上院議員(44)は沖縄県石垣市の尖閣諸島を「米国の同盟国である日本の領土だ」と明言し、アジアでの米軍のプレゼンス強化を主張しているが、世論調査では不動産王、ドナルド・トランプ氏(69)、テッド・クルーズ上院議員(45)に引き離されている。
共和党は「オバマ・クリントン外交」の失敗としてイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の台頭やイラン核合意を批判し、民主党ではジョージ・W・ブッシュ前政権が始めたイラク戦争の正当性が争点の一つになっている。やはり関心は中東に向かう。
クリントン氏は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に反対を明言。トランプ氏のように日本が中国とともに雇用を奪っていると主張し、「安全保障ただ乗り論」を批判する「何十年も昔の日本観で止まっている」(日米関係筋)ような候補もいる。CSISの報告書がまともな議論のきっかけになることを期待したい。(ワシントン支局 加納宏幸(かのう・ひろゆき)/SANKEI EXPRESS)