バチカンの支援に楔
ここで重要なのは、キリル総主教の役割だ。キリル総主教は、ソ連時代は、モスクワ総主教庁の渉外局長(バチカンの外務大臣に相当)を勤めていた。KGB(ソ連国家保安委員会=秘密警察)との関係が良好で、ソ連の「平和攻勢」を支える役割を果たした。ソ連崩壊後は、欧米の宗教、思想、文化の影響がロシアに及ぶことをに反対する保守派として、社会に影響を及ぼしている。
今回、キリル総主教は、プーチン大統領にはできない、バチカンによるウクライナ支援に楔を打ち込むという重要な任務を果たした。北方領土問題についても、ロシア愛国主義の権化であるキリル総主教が、マイナスの役割を果たさないように、モスクワの日本大使館がロビー活動を強化する必要がある。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)