聖徳太子の時代から脱中国が「吉」だった
最後に近隣外交に関して付言しておきます。最近ベストセラーとなっている話題の書籍「なぜ中国から離れると日本はうまく行くのか」 石平著(PHP新書)は、まさにタイトル通りの歴史法則を通じて、日本がとるべき対中外交のカギを示唆してくれています。しかも、著者が日本へ帰化された元中国人だけに、極めて分かりやすく、かつ大いに説得力のある驚愕の歴史観だと思います。
奈良時代の聖徳太子による対中対等外交文書の発信に始まり、平安時代の繁栄と安定は菅原道真が進言して遣隋使・遣唐使を廃止したことで、平仮名・片仮名が発明され、独自の仏教文化が花開き、世界最古の女流文学・源氏物語が生まれ、やはり世界最古の憲法まで制定できたわけです。
江戸時代の未曾有の繁栄と平和も、徳川家康の鎖国政策に依るところが多で、御用学問の朱子学であれ、朝鮮のような盲従でなく、民間で栄えた国学と儒学の融合で日本の伝統に沿う哲学へと昇華されました。美術工芸や芸能のレベルは、世界トップレベルだったことは、パリの印象派画家や、マイセン陶芸技術への大いなる影響が証明しています。また戦後の経済復興と高度成長軌道を確立したのも、中国との国交回復以前のことでした。