オバマ米大統領はTPP交渉の早期妥結に強くこだわっている。今年11月の米中間選挙に向け、経済政策の実績作りを急ぐためだ。「米国が本気でまとめるなら、ギリギリのタイミングで折れてくるのではないか。そうなれば一気に妥結する可能性が高い」と交渉関係者は期待する。
ただ、米議会の超党派議員が今月9日に提出した、大統領に強い通商権限を与える「大統領貿易促進権限(TPA)」法案は、TPP交渉において“もろ刃の剣”になる懸念がある。
TPAは米国が他国と結ぶ通商協定について大統領が議会に修正を許さず、批准の賛否のみを問える仕組みだ。成立すれば、政府間の合意事項を米議会が覆す心配は薄れる。だが、同法案には通商交渉の過程で議会との協議を重視する方針も盛り込まれており、今後の交渉に議会の介入が強まる恐れもある。