政府は25日、総合的な環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連政策大綱を決定した。TPPを成長戦略の切り札と位置付け、農産品を含めた輸出拡大や投資促進のための施策を盛り込んだ。安い海外産の輸入増で打撃を受ける恐れのある農林水産品は、既存予算に支障を来さないよう配慮しつつ、保護策で影響を緩和する。
今後、政府はTPP発効に向け大綱に従って対策を打っていく。緊急性の高い施策は2015年度補正予算に盛り込む。農林水産分野の競争力強化策などに関しては、16年秋をめどに詳細を詰める方針だ。
安倍晋三首相は大綱を決めた会合で「TPPのメリットを最大限生かし強い経済を実現する」と述べた。甘利明経済再生担当相は会合後の記者会見で「海外展開をする中堅・中小企業を応援し、新輸出大国を実現するための施策を推進する」などと述べた。
TPPは経済界から成長の促進役になると期待が高まる一方、農林漁業者からは海外産との競争が激しくなることへの懸念が強まっており、政府にはきめ細かな目配りが求められそうだ。