政府は25日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)総合対策本部の会合を開き、「総合的なTPP関連政策大綱」を決定した。TPPを成長戦略の切り札と位置づけ、支援を受けた中堅・中小企業の60%以上が、海外市場の開拓で成果を得られるようにするなど、具体的な数値目標を明記した。また、安い外国産農作物との競争で影響を受ける恐れがあるコメや畜産農家などの不安を払拭する保護策も充実した。
大綱の個別施策は自民党の提言をほぼ踏襲した。その上で、各分野の成果について数値目標を加え、進行状況に応じて随時見直す方針を明記するなど“攻め”の姿勢を強調した。安倍晋三首相は同日の会合で「TPPのメリットを最大限生かし、強い経済を実現する」と述べた。
TPPによる貿易自由化の恩恵を得るため、官民連携組織(コンソーシアム)を設置して中堅・中小企業の海外展開を支援する。活用方法に関する相談体制を整備し、相談窓口利用者の満足度を60%以上にするとの目標も掲げた。また、円借款手続きの迅速化などでTPP参加国へのインフラ輸出を加速。平成32年に約30兆円の受注を目指す。
農林水産物や食品の輸出額を32年までに1兆円まで拡大するとした従来目標の達成時期を前倒しすることも明記した。実現に向け農地の大区画化や、高性能な農業機械の導入などによる競争力の強化を図る。
一方、国内農業の保護策では、米国などにコメの無関税輸入枠を新設することに対応し、輸入量と同量の国産米を政府が備蓄用に買い入れる。また牛・豚肉農家の経営安定対策も強化し、赤字補填(ほてん)割合を8割から9割に引き上げる。農林水産業や中堅・中小企業の競争力強化策は今後見直し、来年秋をめどに第2弾の対策をまとめる。