TPP総合対策本部の会合であいさつする安倍晋三首相(左)=25日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
TPPの政策大綱が決まり、平成27年度補正予算案などで関連予算の獲得を目指す動きが各省庁から強まるのは必至だ。安倍晋三政権はTPPを成長戦略の目玉と位置付けるが、財務省は財政再建をにらみ“便乗要求”を厳しく牽制(けんせい)する。今後、各省庁に成果目標の設定を求め、費用対効果が見込めるかを厳しく査定する方針だ。
TPP大綱の中で緊急性の高い施策は、27年度補正予算案と28年度予算案に盛り込まれる見通し。与党内には営農規模の拡大や輸出の拡大に向けた「攻め」の対策をさらに盛り込むべきだとの主張がある。一方で来夏の参院選を控えて、農家の補助金対策の増額などを求める声も強まっている。
1993年の関税貿易一般協定(ガット)の多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)合意後に定めた農業対策には総額約6兆円が投じられた。だが、温泉施設といった無関係の目的に使われるケースが相次ぐなど、「ばらまき」批判が集中した。
こうした経緯も踏まえ、財務省は、TPP対策に関して「金額ありきではだめで、成果目標を立ててもらい、しっかり中身を分析する必要がある」(幹部)と強調する。特に、効果の薄い便乗型の要求については厳しく査定する考えだ。