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ソフトバンクのスプリント買収計画承認へ 対米外国投資委「安保問題なし」
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米通信3位のスプリント・ネクステルに対してソフトバンクが201億ドル(約2兆600億円)で株式の70%取得を提案している買収計画が、米当局の承認を得られる見通しとなった。
最大の難関とされていた安全保障上の問題を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)が29日、「問題なし」と発表した。これを受けて米連邦通信委員会(FCC)が近く正式に買収計画を認める方向だ。スプリントが米衛星放送会社ディッシュ・ネットワークによる対抗買収案を退ければ、ソフトバンクの買収が成立する。
ソフトバンクによるスプリント買収をめぐっては、昨年10月に孫正義ソフトバンク社長とスプリントのダン・ヘッセ最高経営責任者(CEO)が合意。しかし、中国製の通信設備を通信事業者が米国内で使用することに対し、サイバー攻撃などの懸念が高まっていたことから、米当局が安全保障上の問題点などを審査していた。
既に独占禁止法の問題を審査していた米司法省は買収による問題はなしと報告しており、外国からの投資案件に対し安全保障の懸念を審議するCFIUSが最大のハードルとされていた。
孫社長は米議会などが問題視する中国製通信機器をスプリントに導入しないことや子会社の既設機器についても置き換えることなどを表明。CFIUSとの間で承認の条件について合意した。
在米関係者によると条件は、中国製通信機器の排除のほか、スプリントに国家安全保障担当の役員を置くこと、政府関連の機密業務を扱う事業部門の分離などが含まれているという。スプリントが傘下の高速データ通信会社クリアワイヤを完全買収した場合は、同社の中国製通信機器も排除する。
司法省やCFIUSの判断を受けて、FCCが市場競争や消費者利益の観点から買収の可否を検討。6月中にもソフトバンクのスプリント買収を認可することになりそうだ。
一方、ディッシュによる対抗買収案については、スプリントが22日に外部識者からなる特別委員会を設置して双方の買収案を比較検討している。
ディッシュはスプリントに255億ドルで株式100%を取得する買収案を提示。衛星放送事業と携帯電話事業の相乗効果が得られるとし、ソフトバンクの買収を認めれば米国の安全保障を危険にさらすと主張していた。米当局が認可する見通しとなったことは、ソフトバンク側に追い風となる。
スプリントの特別委員会は近く結論を出す見通し。同社が6月12日に開催する株主総会で最終決定する。ソフトバンクは買収完了を7月1日と設定。ソフトバンクとディッシュによるスプリント争奪戦は大詰めを迎え、激しさを増しそうだ。